高周波誘導加熱装置(DIVA)
高周波誘導加熱装置DIVAは弊社で開発した加熱装置です。この装置は空冷構造となっていますので現地、工場に運搬し熱処理施工ができます。装置はDIVAとDIVAミニの2機種があり誘導コイルは8sq~150sqに対応し予熱及び応力除去などの熱処理作業に使用されています。
この装置の特徴は、従来の高周波誘導加熱装置では大径管及び肉厚管施工の場合、広い加熱範囲を必要とするために2本以上の誘導コイル並べて使用します。その際、誘導コイル同士が磁気干渉するために誘導コイル間を100㎜以上の間隔を開ける必要がありました。しかし、この装置DIVAでは同期運転機能が搭載されたことで、誘導コイルの間隔を開ける必要がなく、何台でも繋げ施工することができます。また、被加熱物の形状寸法、誘導コイルの巻き数、数量などの条件に応じて1~5KHzの周波数設定ができ効率的な加熱ができます。この周波数設定と同期運転ができることにより高クロム鋼の熱処理も可能になりました。そのことで大径管、板厚の厚い管、高クロム鋼の熱処理が施工できることが魅力となっています。
また、DIVAシリーズにはDIVAプラスと言う装置があり、DIVAの出力を3分配し、それぞれを温度コントロール、要求される熱処理施工ができる装置も配備しています。
当社が主に行う熱処理方法の用語
PWHT・SR(応力除去を目的とした熱処理)
溶接部には残留応力が発生し強度低下など使用性能に影響を与えます。溶接の残留応力などの有害な影響の除去を目的とした手段として、応力除去(Stress Relief Heat Treatment :SR )があります。これは溶接部を規定温度に加熱し、一定時間保持後冷却する方法で、材質の改善も図られるので、溶接後熱処理(Post Weld Heat Treatment :PWHT )とも呼ばれます。
※製品の形状によって、局部熱処理、炉内熱処理、仮設炉内熱処理などの熱処理方法によって施工します。
固溶化・溶体化(組織崩壊を改善する熱処理)
合金は、一般的に温度が高くなるほど、金属に加える合金元素は溶け込みやすくなります。そのため、合金固有の温度に加熱してから急速に冷却すると、低温では析出するはずの合金元素が溶け込んだままになります、それを固溶化処理と言います。大半のオーステナイト系のステンレスに施されます。高温にすることによって、クロム炭化物、窒化物をオーステナイトに固溶させ、その状態から急速に冷却すると、完全なオーステナイト組織を生成します。
※製品の形状によって、局部固溶化熱処理、炉内固溶化熱処理、仮設炉内固溶化熱処理などの熱処理方法があります。
予熱・直後熱(溶接時の割れや硬化を防ぐ熱処理)
予熱は、基本的には溶接金属と母材との温度差を無くして、溶接部の熱影響による種々の欠陥を回避するために行います。溶接部の予熱を行わない場合,溶接熱によって急熱・急冷され、その結果、溶接部は硬化し、組織的にも機械的にも好ましくない溶接部となり、割れの発生等の致命的な事故を起こすことになります。
直後熱とは、溶接作業終了後に鋼板が室温に冷えるまでの間で実施する加熱であり,水素の放出を目的としています。水素の拡散を十分に確保するためには、約100℃以上の温度に鋼板が加熱されていることが必要です。溶接後の冷却速度が速すぎて、水素が鋼板外部へ逃げる時間が確保できない場合に直後熱が行われます。通常300℃以上30分間程度で行われています。
焼バメ (熱による膨張や収縮の性質を利用する熱処理)
軸と穴のはめあい方法のひとつで、常温では軸より小さい穴を、加熱膨張させることではめあわせ、堅く結合させる方法です。軸を受ける穴を加熱し膨張させて広げ、軸をはめ入れます。その後、冷却すると固着状態になります。相互にしっかりと固定されるため、分解することのない永久的組立となります。部品を損傷しないで分解することは困難となります。
当社が行っている局部熱処理
当社では以下の設備を使用し局部熱処理を行っています。
誘導加熱
電磁誘導作用により被加熱物に電流を誘起する磁界を作り、被加熱物自体を加熱する方法です。
交流電流によって被加熱物の表面付近に高密度の電流、うず電流が発生し、そのジュール熱で被加熱物の表面を加熱していきます。熱効率がよく、肉厚で大口径の配管でも加熱することができます。
抵抗加熱
被加熱物に発熱体を直接接触させて加熱する方法です。
発熱体に通電することにより発熱するジュール熱を利用し加熱していきます。主に小径管・薄肉管の熱処理に使用します。発熱体にはさまざまなサイズのヒーターを取りそろえており、小口径はもちろん、その他、配管のサイズが変わる溶接部分でもヒーターを組み合わせて使用することで温度管理が容易になります。
輻射加熱
被加熱物と発熱体は非接触で、遠赤外線域の波長の熱線を放射する方法です。
主に圧力容器の熱処理や加熱炉(仮設炉)に使用しています。足場パイプ等を組み合わせることによって、大型の炉を制作することや、大型の配管・容器を熱処理することができます。
また、高温用の発熱体も所有していますので高温の熱処理(固溶化)にも対応しています。
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